承認には広範な意味合いがありますが、私どもでは、承認の基本定義を次のように定めています
【承認の基本定義】
「相手が気づかない優れた能力、資質、業績、貢献、成長、可能性などについて、その事実を本人に伝え、自覚させること」
相手を人間として尊重するなら「ほめる」より「認める」ことの方が大切です。承認にはありのままを本人に認識させる誠実さがあります。
日本では「ほめる」という言葉が一般的ですが、相手の内発的モチベーションを喚起する「よいほめ方」は「承認」と考えています。
人は、生まれながらに認められたいという承認欲求をもっています。自分が必要とされている(自分には価値がある=他者に貢献できている)と実感したいのです。多くの働く人々は他者からの承認を得て、自分らしく勇気をもって生きていくことができます。
また、人が最初に行動を起こすときは、外発的モチベーションによって行動することが多いものです。承認自体も外的報酬ではありますが、正しく効果的にタイミングよく行うと、人の外発的モチベーションを内発的モチベーションへ移行させる架け橋のような役割を果たします。
内発的モチベーションをもった人は自律し成長していきます。結果、組織も成長します。承認は人と組織の成長に大きく貢献していきます。
【モチベーション】
人が行動を起こすときの原因、すなわち動機を意味する。組織の中では仕事への意欲を指す。
【外発的モチベーション】
報酬、地位、権限、あるいは称賛や罰則、義務、強制などによってもたらされる動機。活動それ自体を楽しむのではなく、それらのために活動する動機。
【内発的モチベーション】
報酬、地位、名誉、賞罰などのような外的報酬に基づかない動機のこと。好奇心や関心によってもたらされ、お金のためでもない、怒られないためでもない、その活動がしたいからするという心の底から湧きあがる動機。
承認には主に次の3つの目的があります。
正しく効果的な承認を行うと、下図のプロセスにあるように、「自己肯定感」と「自己効力感」が満たされたり高まります。そうなると内発的モチベーションが引き出され、人は自律していきます。人は自律するとどんどん成長をしていきます。自律した人材が増えてくれば、その結果、組織に様々な効果(恩恵)をもたらしてくれます。承認の効果については、種々の実証研究によって明らかにされています。
また、会社メンバー同士で相互に承認を行うと、職場の一体感や自分の仕事や会社に対する愛着心(エンゲージメント)が深まります。
【組織の成功循環モデル】
◎保険会社の従業員を対象にした研究プロジェクトの実験結果
◎公益企業の従業員を対象にした研究プロジェクトの実験結果
関西地域にある公益企業の一支店における全営業所員および支店の一部従業員(35歳未満)が調査対象。意識的に上司が承認を行ったグループでは、自己効力感・内発的モチベーションが高まった。
【自己肯定感】
自分は生きる価値がある、誰かに必要とされていると、自らの価値や存在意義を肯定できる感情のこと。「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在だ」と思える心の状態。
【自己効力感】
課題や目標などを達成する能力が自分にあるという感覚、または環境に対し効果的にコントロール(対処)できているという感覚。平たく言えば自分の能力に対する自信。
承認によるコミュニケーションによって、個人の内発的モチベーションを引き出し、個人と組織の成長に貢献できる人材のことをいいます。
承認を仲間とし合うことで自己肯定感と自己効力感を満たし、内発的モチベーションを引き出すと同時に、組織活動の土台となる、よい組織風土づくりをしていきます。
弊所では、(一社)個を活かす組織づくり支援協会認定「承認コミュニケーター」によるワークショップを開催しております。
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